米国通商代表部は5月13日、中国への制裁関税の第4弾として、約3000億ドル(約33兆円)分の同国製品に最大25%の関税を課す計画を公表し、その手続きに入ったことを明らかにした。これが発動すれば、同国からのほぼすべての輸入品が追加関税の対象となり、スマートフォンもそれらに含まれることになる。
iPhoneは値上げを余儀なくされるのか
こうした中、アップルの今後の事業を巡って懸念が広がっていると、米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアが報じている。アップルのハードウエア製品は、そのほぼすべてが中国で組み立てられているからだ。
米モルガンスタンレーの試算によると、現在、米国で999ドルで販売されている「iPhone XS」に25%の関税が課せられると、そのコストは、160ドル(約1万8000円)増加する。アップルがこれを製品価格に転嫁すれば、消費者の買い控えにつながる。また、この費用を自社で吸収すれば、同社の2020会計年度における1株当たり利益は、23%押し下げられるという。
アップルにとって悪いタイミング
こうした米中の対立は、アップルにとってタイミングが悪いと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
同社の今年(2019年)1~3月期決算は、売上高が前年同期比で5%減、最終利益が同16%減で、2四半期連続の減収減益となった。アップル全売上高の大半を占めるiPhoneの売上高は、17%減少している。
米国の市場調査会社IDCによると、今年1~3月期におけるiPhoneの出荷台数は3640万台で、1年前から30.2%減少し、2四半期連続で前年実績を下回った。
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