こんな“悲劇”があっていいのだろうか。そう思わずにはいられない。
岐阜県内の県立岐阜商高と大垣商に絡む新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことを受け、両校では部活動にまで深刻な影響が広がりつつある。県は両校で教諭や生徒に複数の感染者が発生したことを認めており、濃厚接触者についても現在調査中。その感染拡大を懸念する形で大垣商のサッカー部が18日の大会出場を辞退した。県立岐阜商のサッカー部とテニス部もそれぞれ18、19日の大会出場を辞退し、寸前まで出場を目指していた両校の各部員や関係者たちは突然の出来事に大きなショックを受けているという。
甲子園での交流試合も出場辞退の可能性
そして特に一連の高校クラスターでクローズアップされているのは県岐阜商の野球部員たちだ。同校野球部(以下・県岐阜商)は今年夏の全国高等学校野球選手権(夏の甲子園)と同予選を兼ねる地方大会が中止となったことで代替開催されている「2020夏季岐阜県高校野球大会」への出場辞退を19日に決め、日本高校野球連盟(高野連)に受理された。
それだけではない。県岐阜商は今年春の選抜高等学校野球大会(センバツ)が開催中止となり、その出場校同士の交流戦「2020甲子園高校野球交流試合」(8月10日開始)への出場もすでに決まっている。しかし現段階ではそれも難しい公算が強まりつつあることから、高野連は29日に同校の出場について協議する予定だ。
ちなみに県岐阜商は2日目の8月11日に明豊(大分)との対戦が決定済み。今月8日にはオンラインで行われた交流試合の公開抽選会では同校主将が爽やかな表情を見せながら、明豊戦で檜舞台に立つ喜びについて語っていたばかりだ。
もし参加できないことになれば、県岐阜商はセンバツ、県予選を含む夏の甲子園、その代替の県大会、そしてこの交流試合と実に「4度」も夢が奪われる格好となってしまう。同校野球部員、関係者の心中を察すると張り裂けそうなほどに胸が痛む。そして基本的に今夏の試合をもってチームから“引退”することになる3年生部員たちは、新型コロナウイルスの影響によって最後の最後まで辛い思いを味わわされてしまうはずだ。