*写真はイメージ

 さすがに開いた口が塞がらなかった。大相撲7月場所(東京・両国国技館)が行われている最中、田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)に“泥酔問題”が発覚した件である。

 日本相撲協会は新型コロナウイルス感染防止のガイドラインを場所前に作成し、そこには力士を含め協会員は基本的に不要不急の外出を禁止する旨も定められており、理事長名で熟読するように通達している。ところがあろうことか、その場所中、ネット上に田子ノ浦親方が居酒屋のような飲食店で酒を飲んで寝ているとみられる写真が掲載され、大きな波紋を呼んだのだ。

“泥酔”の日時、「場所中かどうか分からない」?

 この写真とともに最初に投稿されたSNSの文面には「田子ノ浦師匠と男飲み。二人で撃沈・・・ しかし覚えてる限りで師匠は芋ロックを全て一気で50杯は飲んでいた。お相撲さんってやっぱ凄いわ。」(原文ママ)と記されていた。すでに投稿は削除されたもののツイッターなどであっと言う間に拡散し、田子ノ浦親方の“罪状”は白日のもとにさらされてしまった。

 これに協会幹部が大激怒したのも無理はない。日本相撲協会執行部が7月場所9日目の27日に田子ノ浦親方本人を呼び出し、厳重注意を行った。

 協会側の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)がメディアに説明したところによれば、田子ノ浦親方は「(飲食店に行ったのが)場所中かどうか分からないと言っている」という。申し訳ないが、本当に覚えていないのかどうか非常に疑わしいし、訳の分からない言い逃れにしか聞こえず非常に見苦しい。

 泥酔していて記憶が曖昧なのか、それとも実は分かっていて隠し通そうとしているのか。ただ、このように疑念を抱かれてしまったとしても本人には文句を言う資格などないだろう。場所中ならば言語道断、例え場所前でガイドラインが作成されていない時点であったとしても余りに無自覚な行動だったとしか思えない。責任ある立場の親方ならば、このようなご時世において誤解を招くような“暴走”は絶対に慎まなければならなかったはずである。

 当の本人が「分からない」と口にしている以上、現時点で経緯の真相は闇の中だ。もしかすると俗に言う“タニマチ”からの誘いで飲食店に足を運び、深酒していた可能性もある。大事なホットラインで関係性を潰したくなかったから、どうしても断れずに出向いたのかもしれないが、それでも弁解の余地は一切ないと考える。