2019年、台風19号により信濃川が氾濫した長野県(写真:アフロ)

 熊本県南部を中心とした7月豪雨では、多くの住民が被災し、70人以上が亡くなった。

 これまで経験したことがないような雨が短時間に降り、そして、一日中降り続く。1~2日で600ミリを超える降水量の時もある。

 このような豪雨は、日本のどこかで、毎年のように起こる。テレビニュースを見ていると、災害は自分とはかけ離れた世界で起きていることのように思える。

 自分が住む地域では発生して欲しくないという気持ちから、発生しないだろう、大丈夫といった誤った先入観が定着していることがある。

 メディアで災害の悲惨さを幾度となく見ていても、日本人は、危機に対する切迫感や防災意識が欠如しているように思われる。

 住民が防災のために真剣に向き合わないために、豪雨災害の対応が不十分となり、命を失うことになる問題点がここにある。

 住民の命を救うために何をしなければならないのか。

 メディア情報や自治体防災パンフレットには、「早目早目の避難が重要だ」とある。早目という言葉を知らされても、住民はどのように行動すればよいのか分からない。

 そこで、どのような兆候(予兆)があるのかを知らせ、その時に住民が実行しなければならないことを明確に示し、住民はいつ避難しなければならないか、災害が発生する前に、適切に避難を指示することが、豪雨災害における防災の焦点だと考える。

 このためには、日頃から、防災危機管理監など(自治体によって呼称が異なる)が災害を予測して避難について助言し、住民がこの情報を受けて行動できる態勢を作っておくことが重要だ。

 そのための防災の具体的ポイントを述べる。