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(福島 香織:ジャーナリスト)

 体制内良心派知識人として、中国の体制に対して厳しい批判を繰り返していた中国の法学者、許章潤・清華大学教授が7月6日、警察に連行された。弁護士によれば7月12日には釈放される予定で、7日間の行政拘留だという情報もある。だが中国内外の言論界では、国際社会の認知度も非常に高い、名門・清華大の許教授がついに警察に逮捕されたのか? という衝撃が走っている。

 もし、許教授が正式に逮捕されることがあれば、先般の香港国家安全維持法(国安法)の導入などに続いて、法治の建前をかなぐり捨てた中国共産党体制の暴走を象徴する出来事といえそうだ。

清華大学の許章潤教授

「売春容疑」は評判を落とすため?

 許章潤教授は日本にも何度も訪れ、私も取材したことのある、中国の良心的知識人の代表だ。清華大学の「法治と人権研究センター」の主任を務め、2005年に中国全国十大傑出青年法学家として表彰されているほどの優秀な学者である。国際社会での評価も高く、中国共産党幹部の間でも尊敬されている人物だけに、厳しい体制批判をこれまで繰り返し、たびたび軟禁状態にあっても、その鋭い舌鋒を止めることができなかった。一部で党中央の長老、幹部が許教授を評価、擁護しており、習近平ですら簡単に弾圧できないのではないか、といわれていた。