中国・上海に新たにオープンしたファーウェイの最大旗艦店に集まった上海市民(2020年6月24日、写真:アフロ)

(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

TSMCの公開データが突然修正された?

 筆者は定期的に、台湾のファンドリーTSMCが公開する「投資家向け情報」をウォッチしている。その中で最も注視しているのは、「過去の決算情報」内のエクセル形式でダウンロードできる“Historical Operating Data”である。このデータには、テクノロジーノード(微細加工技術)ごとのウエハ・キャパシティの割合、アプリケーション別の売上高比率、地域別の売上高比率などが漏れなく記載されているからである。

 ところが最近、2020年第1四半期の地域別売上高比率のデータが修正されていることに気づいた。修正される前のデータを基にしたグラフを図1に示す。2019年第4四半期に22%あった中国比率が、2020年第1四半期に11%に低下していることに注目されたい。

図1 TSMCの直近5年間の地域別売上高比率(修正前)
(出所:TSMCのHistorical Operating Dataを基に筆者作成)