利回り重視なら、最初から中古物件に絞る

福岡市福岡市内のアパートにも、投資に向く物件とそうでない物件がある

 まずは物件の選定から始めました。購入する物件は将来住みたい福岡市と決めていたので、インターネットで不動産会社をいくつかピックアップして、福岡市に行ける日に不動産会社にアポをとって、物件を見て回ることとしました。
 物件はどのくらいの規模か? 投資金額はどのくらい? 構造は? 間取りは? などのことは全く考えてもなく、「まずは観てみよう」から始まったのです。
 これでいいのか?
 いいわけがありません。

 少なくとも、自身の意志ははっきりと決めておく。
 中古物件で利回り重視でいくのか。新築物件の場合は、利回りは何%までOKか。最低限の意志を決めておかないと、業者さんの思惑の中で動かされるだけになってしまいます。
 ですから、当時の私は、まんまと不動産会社の意向通りの物件を勧められたかもしれません。見栄えのいいデザイナーズアパートだったので、気持ちはすっかり「購入ありき」に傾いてしまったのです。利回りを重視する方にとっては禁断ともいえる、新築物件購入の入り口へと突入していったのです。翌週には不動産会社に足を運んで、詳細などの商談に……。

 利回り重視の気持ちが強いのなら、まずは最初から物件は中古に絞って観ていくこと。これはたいへん重要です。物件を絞らないと、ついつい見栄えがする物件に目移りしてしまいます。不動産会社の担当者は顧客のそうした態度を見逃さず、「おすすめの新築物件がありますよ!」などと誘導してきます。新築物件は値が高いうちに、早めに売りたいという担当者の思惑があるからです。購入金額が高額ということは、利回り的には不利です。
 ですから、最初から中古物件から選ぶとハッキリと決めておく。毅然とした態度でのぞみましょう。

立地は「人が集まる地域か」が重要

 次に立地です。一棟アパート経営では、立地が一番重要だと考えましょう。立地を間違えれば、不動産経営で資産運用どころか、赤字しか生みません。不動産は人に貸すことができて、初めて経営が回っていくという現実を知りましょう。

 立地は、「人が集まる地域か」を考えて選別することが重要です。
 当初私は、物件の候補地として次のような場所を勧められていました。
 ①博多駅から東へ30分ほど先のJRの駅から徒歩10分。近隣には大学があり、活気はあるのですが、何か町自体が狭い空間の中に凝縮されているようで、あまり乗る気になれませんでした。
 そこで、全く違った立地の物件を2か所観てみることにしました。
 ②博多駅から17分徒歩圏内のエリア、そして③博多駅より西に位置する、地下鉄・JR両方とも利用可能で駅から徒歩10~15分圏内のエリアです。それぞれ土地面積が少々違いますが、価格は高い方から②、③、①の順でした。

 立地に関しては妥協したくなかったので、いろいろと考えたうえで③の物件に決定しました。
 決め手は地下鉄が利用可能であるのと、大学の移転先の付近ということで、先の都市開発が見込めそうなこと。道路が広く交通網も便利で、何よりも人口増が見込めそうで、自分もこの地域に住みたくなったことです。
 現在もこの物件は満室で運用できているので、ホッとしています。ただ、運用を考えると、中古物件で購入費を抑えて利回りを高めるなど、利益重視で行くべきだと思います。「ピカピカなデザイナーズアパートのオーナーになりたい」という自身の思いはいったん横に置いて、あくまで資産運用として考えることが大切です。
 立地に関して付け加えるなら、近隣にアパートが複数立ち並んでいる場所は、逆にニーズがあるということで、メリットと考えるといいと思います(ただし例外もあるので、そこが本当に人が集まる地域かどうか、現地に足を運んで確かめましょう)。

 次回からは「数字」を踏まえながら、一棟アパート投資についてさらに具体的な話を進めていきます。