一棟アパート投資

 宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマは「一棟アパート投資」。小田さんの体験に基づいて、不動産を選ぶための重要なポイントを解説します。

14年前、福岡市で新築の一棟アパートを購入

【質問】
夢だった福岡のアパートオーナー! 土地から購入するつもりで、複数の建物を観に行ったらデザイナーズアパート。すぐに欲しくなって、勢いで契約してしまった。こんなに思い切って大丈夫ですかねぇ?

 さあ、今回のテーマは社会的な問題にもなっている「一棟アパート投資」です。
 「年収300万円のサラリーマンでもアパート経営ができる!」を売りに躍進しながら、同時に多くの物議を醸してきた一棟物のアパートへの投資。「収益物件」とも呼ばれる投資用アパートの購入や経営について、まずはまっさらの状態からの新築購入について、具体的に話をしていきましょう。

 実は、前述の質問者は、14年前の私自身です。
 自ら新築物件の一棟アパートを購入してみて、そこで感じたメリットとデメリット、今だから話せる裏話やノウハウなど、今回から数回に渡って語っていくことにしましょう。
 どちらかというと私は、「迷ったら買っちゃえ。買ったうえで経験しちゃえ。失敗してもしょうがない」の人です。ですから失敗もたくさんありますし、まだまだ現在進行形なのですが……。今だったら、あの頃の自分に対して違った方法が示せたのかもしれません(笑)。これから一棟アパートの購入をお考えの方には、ぜひ私の経験を参考にしていただきたいと思います。
 ただし、これは後の回でお話ししますが、今では不動産の購入には経験だけでなく「運」の要素も大きいのかもしれないな、と感じている次第です。

 最初の回は、私が新築一棟アパートの購入に至るまでの経緯と葛藤について、精神論も含めて話していきます。

 その当時、株式市場ではチャイナマネーが躍進していました。中国の発展途上は目覚ましいものがありました。日本のGDPが中国に抜かれるのは2010年ですから、その少し前の話になります。当時は株式などの短期運用でしたが、私もチャイナマネーの恩恵を少なからず受けることができました。その前年度に、東京都内でバブル時代に買った方が売りに出していた中古マンションを購入して(第13回参照)、さらなる資金の運用先を考えていた矢先でした。

 経済雑誌を開けば『サラリーマンでも「大家さん」になれる46の秘訣』『サラリーマンでも10年間で3億円の資産を作る不動産投資セミナー』、そしてロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん貧乏父さん』など、不動産投資の指南書やDVDも多く見られました。私も参考にした一人で、特にロバート・キヨサキ氏のお金の考え方、手法については、今でもふと思った時に参考にしています。
 ですから当時は私自身、不動産投資に対して前のめりになっていたのかも知れません。「購入したい」という気持ちが先決していたのです。一番まずいパターンですね。