6月15日、都知事選に立候補する現職の小池百合子都知事が政策を発表した(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 17日に、通常国会が閉幕した。コロナに始まり、コロナに終わった国会であったが、任期を延長した黒川検事長が辞任し、検察庁法改正案も廃案になった。さらに、18日には、河井克行・案里夫妻が公職選挙法違反の容疑で逮捕された。安倍政権の退潮を印象づける出来事である。

 18日には東京都知事選が告示された。現職の小池都知事、元日弁連会長の宇都宮健児氏、熊本県の元副知事の小野泰輔氏、れいわ新撰組代表の山本太郎氏、NHKから国民を守る党代表の立花孝志など、22人が立候補した。

 小池候補は実質的に自民党、公明党の支援を受け、労働組合の連合からは正式に支持を取り付けている。立憲民主党、共産党、社民党は宇都宮候補を支援し、日本維新の会は小野候補を推薦している。山本太郎氏の立候補によって、野党票が一本化されなくなった。

 このような状況下では、小池都知事の再選が確実視されており、盛り上がらない選挙となりそうである。梅雨の時期でもあり、また、投票所での感染を恐れて選挙に行かない有権者も増えるのではなかろうか。消化試合のような選挙なら、そうなるのも致し方ない。

 ただここで、作家の黒木亮氏らが問題にしている小池都知事の学歴詐称問題について、私自身が知っていることを記しておく。

「首席で卒業というのは、学生が一人だったから」

 私は、フランス、スイス、ドイツなど、ヨーロッパ諸国での勉強を終えて、1978年に帰国した。そして、母校の東大で教鞭をとりながら、執筆活動やテレビ出演などをこなした。

 1981年にフランスで社会党のミッテラン大統領が誕生し、日本でもフランスの政治に関心が高まり、専門家である私に解説などの仕事が多数舞い込んできた。竹村健一氏のテレビ番組にも呼ばれ、そこでアシスタントとして活躍していた小池百合子を紹介された。

「エジプトのカイロ大学を首席で卒業した」才媛ということだったので、凄い人がいるものだと驚いた。小池氏は、1982年には、『振り袖、ピラミッドを登る』という本を出版したが、私も本人のサイン入り著書を頂戴した。

 残念ながら、現物は手元には見つからないが、その本の略歴案には「1971年、カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)。1972年、カイロ大学・文学部社会学科入学。1976年、同卒業」とある。その本も読み、ますます素晴らしい女性だと唸ったものである。