ベトナム南部の都市、ホーチミン

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 米中対立が先鋭化するなか、ベトナムはじっと息を潜めてその成り行きを伺っている。

 ベトナムは約2000年前、漢の時代に中国の植民地になってしまった。中国から節度使と呼ばれる代官が送り込まれて年貢を徴収された。年貢は中国に送られた。

 そんなベトナムは約1000年前、唐が滅びて混乱が続いていた時代に独立を達成することができた。一時期、明の植民地になったが、その時も反乱を起こして自力で独立を回復している。中国はその後もベトナムを植民地にしようとして侵略を繰り返した。何度も戦争になった。そんなこともあって、ベトナム人は中国を怖れるとともに、心の底から嫌っている。