積立は投資の最大の武器である時間を活用する仕組み

Q. 個人投資家は現状にどう向き合い、どのような行動をとるべきでしょうか?

 まず“なんとなく”から脱出していただきたいと思います。そのためには、いつまでにいくら欲しいのかという投資のゴールを、ざっくりとでいいのでイメージできていることが大前提です。

 「いつまでにいくら」の目標が明確になれば、それ以上無理に稼ぐ必要はなくなります。目先の市場の動きを追うことよりも、「預金を含めた資産全体で、年何%程度のリターンを上げられれば自分の目標に達するのか」という運用のモノサシが大事になります。運用のモノサシがあれば、投資行動の選択に迷った場合にも、なんとなくではなく意味を持って、売るか買うか持ち続けるかを決断できるようになります。

Q. こうした局面だからこそ見直したい、投資信託のメリットは何ですか?

 今や、誰もが世界中のニュースに瞬時にアクセスできる、情報の溢れる時代です。しかし、その情報を分析して運用で勝つことがいかに難しいかを、今回のコロナショックは改めて教えてくれました。

 資産運用の手段は投資信託とは限りません。それでも投資信託ならば、個人が自分ひとりではできない様々なことが実現可能になります。直接投資することが難しい投資対象にもアクセスできます。限られた資金量でも十分な分散が図れます。多くの時間と労力をマーケットチェックに割かずに済みます。投資信託が、個人の資産運用において合理的かつ効率的な仕組みであるという点を、今こそ実感いただきたいと思います。

Q. 最後に個人投資家にメッセージをお願いします。

 個人投資家には、プロの投資家にはない武器があります。それは「時間」です。私たちの年金を運用する年金基金などの機関投資家は、四半期や年度などの決算時に運用成果を問われますが、個人投資家に決算はありません。10年先、20年先に目標を定めて、純粋に長期投資に取り組むことができます。

 そして、投資の最大の壁である「感情」を自動的に排除し、最大の武器である「時間」を継続的に活用する仕組みこそが「積立」です。投資信託では制度利用も含めて積立の活用もできます。今のタイミングを、ぜひ冷静に前向きに、投資を見つめなおす機会にしていただけたらと思います。