「日本で新たな事業を始める時は、人間臭さに注目するとよいと思います。米国・シリコンバレーでは、自動運転、AIによる各種作業の自動化など、様々な仕事を無人化する方向の進化が進んでいます。素晴らしい技術です。しかしこういった革新は、実際、日本ではあまり起きていません」
日本は、相変わらず手作りのコンテンツがウケる国だ。
「日本人は、人が介在する手間が掛かることを、不器用に、でも一生懸命やっていくことが得意なのかな、と思うんです。だから、AIが動画を作れる時代に、人が編集した少し不器用な動画を流すのも悪くない。実際、これが『C CHANNEL』の成功につながっています。しかもこれは、GAFAは決して手を出さない領域です」
この分野で、森川氏は次々と新展開を始めている。「C CHANNEL」は資生堂が原宿に出店する「Beauty Square(ビューティー・スクエア)」とタイアップ。グループ会社「mysta(マイスタ)」のアプリ内で「公認サポーター」の選抜オーディションを実施する。
具体的に言えば、芸能事務所に所属するタレントだけでなく一般人も参加し「Beauty Square」を盛り上げてくれる女性を募集するのだ。オーディションは、投稿した動画に対して視聴者が「応援ポイント」を投じるシステム。ユーザーは、自分が応援するキャストが成長するさまを見届けられる。さらには、アプリ上でキャストにアドバイスしたり、オーディションの作戦会議を行うこともできる。
「当然、資生堂さんにもメリットがあります。オーディションが盛り上がれば『Beauty Square』はオープン前から様々な方に認知していただけますし、オーディションを勝ち抜いたキャストにはファンが一定数つきますから“この人に会いたい”とほかのお客様がいらしてくださり、集客に繋がります」
最後に森川氏はこう話す。
「マーケティングサービスは、常に移り変わっています。若者に新しいイメージを持ってもらいたい企業、今のアプローチとは別の何かを模索されている企業にとって、『C CHANNEL』がよい解決策になればいいな、と思っています」
(企業取材集団IZUMO)