新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は徐々に解除へと向かっていますが、感染拡大の脅威が完全に去ったわけではありません。株式や投資信託で資産運用をしている方は、今後どのような行動を取ればよいのでしょうか? 投資信託を運用する資産運用会社、日興アセットマネジメントの森豊さんにお話をうかがいました。
日興アセットマネジメント
資産運用サポート推進部 副部長
森 豊さん
大学卒業後、準大手証券に入社。海外現地法人及び国内にて日本株式および同派生商品のセールス、売買に携わる。その後、外資系銀行にて、個人および富裕層向けビジネスに約2年間従事した後、投信セールスマネージャーとして、首都圏及びコールセンターの販売を統括。当社では、一貫して販売員・受益者に寄り添う、をモットーに個人向け投信販売業務を推進。
長期的目線を持ち、短絡的な売却を控える
Q.「解約が増えている」「むしろ資金流入が増えている」など、今回の調整局面で貴社ファンドはどのような影響を受けていますか?
3月中旬までは、基準価額の下落を購入のタイミングととらえ資金流入が増えましたが、3月下旬以降「新型コロナウイルス」の感染拡大ペースを見極めたいとの動きから設定・解約ともに減少傾向にあります。
Q. 販売会社や個人投資家から増えている質問はありますか?
販売会社からの質問は、当初は市場見通しについてのものが多くを占めていましたが、3月に入ってから各ファンドのアフターフォロー材料についての質問が増えてきました。
一方、個人投資家からは市場の下落に伴って、基準価額や分配金が「ゼロ」になるのではないか? 繰り上げ償還されるのではないか? という不安に基づいたものが多かったです。ただ、ここに来て基準価額の算出方法や投資対象市場についての質問があり、「投資信託や投資の基本」から学ぼうという機運も感じています。
Q. こうした局面で個人投資家がやってしまいがちなミスや、やってはいけない行動には何がありますか?
どうしても保有している投信の基準価額が下落すると、もっと下がるのではないか、もう戻らないのではないか、との不安心理から「売却」したい気持ちになると思います。
そこで、個人投資家の方々にお伝えしたいのは、長期的目線を持ち、「短絡的に売却」することを控えていただきたいということです。
Q. 個人投資家は現状にどう向き合い、どのような行動をとるべきでしょうか?
まず、一呼吸おいて冷静に「何のために」投資を始めた(る)のか? と投資の「目的」、それを達成するための「時間軸」を確認する事です。現在のような大きな下落を前にすると、どうしても悲観的になりがちですが、このような環境下でも「新型コロナウイルス」と戦っている医療に加え、電力・ガス、陸運などのインフラは維持されています。
今は、世界各国で発令されている非常事態宣言により一連の経済活動は大きく制限されていますが、この事態の収束後にはそれまで抑えられていた需要の反動に、世界中で進む自動化やテレワークなどの普及による生産性の向上が、新しい大きな経済成長の波を作り出すかもしれません。