別の学校教育機関、例えば他の高校や大学で仮にシフトがあったとしても、いま学んでいる学生たちが半年足踏み、といったことはさせられませんし、させません。

「備え」があったから、「憂い」が限定的で済んでいる。そういうことにほかなりません。

 私が「9月入学」に「反対」する最大の理由は、それが現在の遅れて停滞した「日本だけ」「日本独自」の特殊な教育の現状を追認し、それを温存する前提で議論されていることが一番大きいのです。

 最大のガンは「対面指導の原則」。つまり、学校では子供たちが皆一緒に教室に集まり、同一の内容を対面指導で先生から習い、学力達成度とは無関係に、出席日数をクリアしていたらトンネル状態で小学校も中学も卒業できる・・・。

 こういう教育の空洞化をそのまま引きずって行く前提の議論です。

後進国に劣る日本の
「テレ・エデュケーション」準備

 日本の遠隔教育化が、あらゆる発展途上国を下回って世界最低レベルにあるのは、ショッキングなOECD報告が示す通りの厳然たる事実です。

https://read.oecd-ilibrary.org/view/?ref=127_127063-iiwm328658&title=Learning-remotely-when-schools-close

 そして、善し悪しではなく、いま現在進行形で起きている現実として、諸外国は今回の新型コロナウイルス感染症蔓延に伴って、グローバルに「テレ・エデュケーション」へと急速にシフトしています。

 コンピューターを駆使するテレ・エデュケーションでは、必然的に個別指導がシステマティックに可能になります。

 すると、みな同じ教室で、理解してもしなくても、時間数さえ消化していれば先に行く、などという話は一切成立しなくなります(日本だけはそういう状況を温存したがっています)。

 世界標準では、AI、ビッグデータ解析をフル活用し、達成学力の程度によって、きめ細かな指導が当たり前にになります。