デジタルツールの装備で人事は「サイボーグ化」する
AI技術の進歩により、将来的に人からAIに代替される仕事が増えてくることが予想されています。すでに一部の仕事はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用でかなりデジタル化ができていると聞きます。しかし、人事は人を扱う仕事である故に完全デジタル化はできないでしょう。仮にほとんどの業務をAIが担うことになっても、社員との面談やモチベーション変化の機微、離職の兆候を読み取るようなシーンでは人間の共感性や勘と経験も大切になります。また、社員と会社の間に立って調整を行うこともAIやロボットにはできない仕事だと思います。
私は、昨今の人事のIT化は「サイボーグ化」に近い感覚だと捉えています。データやデジタルツールで武装した人事担当者が、エンゲージメント向上や離職防止などの課題に立ち向かうイメージです。
これまで人事担当者が提供できるソリューションは、「制度構築」や「教育研修」など大掛かりで時間がかかるものが中心でした。しかし、サイボーグ化することで、リアルタイムに社員情報を把握し、素早くタイムリーにデジタルツールを活用した解決策の提案ができるようになるでしょう。例えば、離職の兆候がある社員に対してすぐに面談を行ったり、データに基づいた最適な配置を行ったり、といった具合です。
「HRテクノロジー」は少しずつ人事のあり方を変え始めています。2020年、この流れはますます加速すると考えられます。それとともに、人事の効率化と高度化もさらに進んでいくでしょう。「サイボーグ人事」がこれからまさに生まれようとしています。
著者プロフィール 中野 在人 大手上場メーカーの現役人事担当者。 新卒で国内最大手CATV事業統括会社(株)ジュピターテレコムに入社後、現場経験を経て人事部にて企業理念の策定と推進に携わる。その後、大手上場中堅メーカーの企業理念推進室にて企業理念推進を経験し、人材開発のプロフェッショナルファームである(株)セルムに入社。日本を代表する大手企業のインナーブランディング支援や人材開発支援を行った。現在は某メーカーの人事担当者として日々人事の仕事に汗をかいている。 立命館大学国際関係学部卒業、中央大学ビジネススクール(MBA)修了。 個人で転職メディア「転キャリ」を運営中 http://careeruptenshoku.com/ |