核・ミサイル問題で北朝鮮を交渉に引きずり出すには、「厳しい経済制裁と軍事的圧迫」の2つが重要だ。
だが、北朝鮮(以後、北)は、国連制裁を受け続けてきたが、中国による不法な貿易や支援が北朝鮮の生命線となり、何とか持ちこたえてきた。今では、このことは誰でもが承知していることだ。
このような中、新型コロナウイルス(以後、ウイルス)感染が中国で拡大し、とうとう北に入り込んだ。
北は、「ウイルスの拡大防止は国家の存亡にかかわる重大な問題だ」と捉え、中朝国境を通過するすべての交通機関を遮断した。
越境するものは、「銃殺せよ」という命令が出ているほどだ。
ということは、北に入ってくる物流を自ら止めざるを得なくなっている。ウイルスの国内感染が、米軍による海上封鎖や国境封鎖と同様に脅威なのだ。
北は、国内にウイルス感染者は一人もいないと発表しているが、実はそうではあるまい。国内には感染者、さらに死者も出ている。
私は、金正恩氏や側近たちが、ウイルスの感染拡大に不安や恐怖を抱き、警戒していると見ている。理由は、金正恩が軍人と映る写真が、合成写真になっているからだ。
その意味するところは、金正恩氏は、ウイルス感染を恐れて軍人・人民に近づいていないのだが、首領様としてカリスマ性を示すために、合成写真のトリックを使っている(「ウイルスに怯える北朝鮮の証拠写真(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59694)」JBpress参照)。
北は今後、なりふり構わず、感染防止の手段をとらざるを得なくなる。そうでなければ、ウイルスの脅威は、国内全土、そして金正恩に降りかかるからだ。