2018年10月、ユニクロのグローバル・ブランド・アンバサダーに就任したプロテニスプレーヤーのロジャー・フェデラー選手(左)と握手するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(写真:つのだよしお/アフロ)

(黒木 亮:作家)

 中国で新型コロナウイルス感染が経済活動に大きな影響を及ぼしている。すでに日産やホンダなど、武漢や湖北省内に工場を持つ日系自動車メーカーが生産を休止し、他の地域の工場も減産していると報じられている。日本関係で言えば、アパレル産業への打撃も無視できない。地方政府の行政措置などで、縫製工場の休止や減産、物流の停滞が全土に広がっているからだ。

ユニクロ、中国での製造をテコに世界に飛躍

 最も影響を受けているのがアパレルの王者、ユニクロだ。すでに中国における生産や物流の遅延から、新商品3品目の発売を延期すると発表した。

 ユニクロはもともと山口県宇部市のメンズショップ小郡(おごおり)商事という一介の洋品店だった。1984年に父から社長の座を引き継いだ柳井正氏(現会長兼社長)の戦略が、平成に入ってからの「衣料のカジュアル化」の流れに合致し、1998年のフリースの大ヒットで成長路線に拍車がかかり、今では売上げ2兆2905億円、純利益1780億円(2019年8月期)という世界的企業になった。

 同社の成長の原動力は、商品の企画・製造から小売りまでを垂直一貫統合し、中間マージンを排除して、高品質・低価格を実現する「SPA(speciality store retailer of private label apparel=製造小売業)」という独特なビジネス・モデルだ。