リートなら借金しなくても不動産に投資できる

 よく言われるリートの特徴は、以下の4点です。

  1. 分配金利回りが高め(年2~7%)
  2. 株式とは異なる値動きが見られやすく、分散投資に向いている
  3. 物価上昇(インフレ)が起きると不動産価値と家賃の上昇が起きやすく、インフレに強い
  4. 現物購入の不動産投資と違い、多額の現金を用意しなくても買える(1口あたり10~20万円前後の商品が多い)

 一番のメリットは、何といっても「借金しなくても間接的に不動産投資に関わり合いが持てる」ということです。
 現物の不動産を購入すれば、うまくいけば年10%を超える家賃収入を得られるかもしれませんが、不動産を買うにはある程度の頭金が必要になります。リートなら10~20万円あれば不動産投資ができます。いつかは現物不動産を買いたいという方も、頭金を用意する手段としてリートを使って資金を貯めることも可能です。

 日本のリートが投資する不動産もさまざまです。当初はオフィスやマンション、商業施設くらいしかありませんでしたが、最近は物流施設やヘルスケア施設(養護施設や高齢者向け住宅など)のリートも増えてきました。現在は太陽光発電施設などを組み込んだ「インフラファンド」も6銘柄上場されていますので、調べてみるといいでしょう。

太陽光発電施設リートの一種である「インフラファンド」には太陽光発電施設に投資するものもある

投資信託を通じてリートに投資する

 今回の相談者が話していた「不動産を利用して運用する投資信託」というのは、不動産投資信託(リート)を組み入れた「リートファンド」と言われる投資信託を指していると思われます。
 リートそのものに投資するためには証券口座が必要ですが、投資信託であれば銀行などでも買えます。現在は、複数のリートを組み込んで利益を追求するタイプのリートファンドが多数生まれています。日本だけでなく、米国など海外のリートに投資するリートファンドもあります。2019年は日本も海外も不動産が値上がりしたので、リートファンドの人気が非常に高まりました。

 リートファンド全般に言えることですが、投資信託なので、販売手数料と運用管理費(信託報酬など)のコストがかかります。個別のリートを買う場合より手数料が高くなることは注意すべきでしょう。

 リートの個別銘柄は証券取引所で取引するので、取引時間内(平日9:00~11:30、12:30~15:00)であればいつでも取引できます。リートは換金性が高く、売るタイミングによっては売却益を得られる可能性があります。分配金は、年2回の決算時に支払われます(株式と同じように、郵便局や銀行へ行って現金で受け取るか、口座に振り込んでもらう形になります)。

 リートの手数料は証券会社での売買手数料のみですが、株式と同じく上場廃止もありえます。リートファンドであれば、たとえひとつのリートが上場廃止になっても、もともと複数のリートを組み込んでいるので、投資信託の運用は続きます。投資信託を中心に資産運用をしている方で、保有している商品の投資先が株式に偏っている場合は、リートファンドを組み込むことで分散効果を高めて、全体のバランスを取るのもいいと思います。

 次回も引き続き「不動産投資」について考えていきたいと思います。