グローバリゼーションが進み、多くの企業が海外企業との取引を行っています。
海外企業との国際取引は、国内企業との取引に比べて、非常にリスクが高く、特有のトラブルが起こることをご存じでしょうか。
様々な類型のトラブルがありますので、頻発するトラブル類型についてシリーズで紹介していきます(第1回の記事=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59335)。
(なお、弁護士としての守秘義務のため、実際の事例とは事実を変えています)
突然の代理店契約打ち切り
A社は、ヨーロッパの潤滑油供給業者であるB社の代理店として、日本で10年以上販路を開拓し、順調に売り上げを伸ばしてきました。
もっとも、A社がB社の代理店となった時点では、B社の潤滑油を使用している日本企業はほとんど存在しませんでした。
そこで、一度にまとまった量の取引ができる大口の顧客にターゲットを据え、一つひとつ丁寧な営業を始めました。その結果、大口の取引先を何社も開拓でき、安定的に売り上げが上がるようになりました。
A社は社員が10人程度の中小の商社で、B社の代理店業務が拡大したことにより、A社における主力事業となっていきました。
事業は順風満帆に見えました。
ところが、好事魔多し。B社は突然、日本に子会社を立ち上げ、その子会社経由で日本の顧客に製品を卸すことにしたと通告してきました。
A社との代理店契約を打ち切るというのです。