4月7日には、「放射性物質を含む雨が降る恐れがある」としてソウル近郊だけで120以上の学校が休校になった。
そんな最悪のタイミングで起きた原発の故障。「ヒューズが飛んだ程度」との説明では、とても収まるような雰囲気ではなかった。
「1号機はそもそも老朽化していて事故が起きる危険性が高いという指摘があるのに、こんな簡単な説明と対応でよいはずがない。こんな発表で信じられるか」という批判の声が相次いで韓国水力原子力に寄せられた。
手続き上の不備もあった。政府機関である韓国原子力安全技術院(KINS)は、「原発が自動停止した際、点検して再稼働の時期などを協議するのはKINSで、これをもとに政府が最終判断する。韓国水力原子力には、再稼働の時期を決めて発表する権限はない」として、当初の再稼働案を却下、「さらなる点検作業」を求めた。
こうなると、原発への不安、不信は高まるばかりだ。
釜山市のある区議会は、1号機の停止と隣接する新古里原発での新規建設計画の白紙化を求める決議案を満場一致で決議。別の区議会は、1号機の廃炉を求める決議案を採択した。
古里原発1号機の再稼働は無期延期へ
さらに野党や市民団体からは、「古里原発1号機の10年間の運転延長を決めたメンテナンスや点検に重大な問題があった」などの主張が相次いだ。
これを受けてKINSは4月17日になって「古里原発1号機の再稼働の無期延期」を発表した。
国会では、金栄煥(キム・ヨンファン)知識経済委員長が4月18日に、記者会見を開き、「古里原発1号機の寿命を延長した際、原子炉の圧力容器の検査に問題があった。寿命延長に執着せず、来年の検査で問題が見つかれば廃炉すべきだ」と述べ、ここでも「廃炉」に言及した。
日本と同様に化石エネルギーがない韓国は、1970年代末の古里原発1号機稼働後、「原発大国」に向けて走り続けた。
2011年2月末に高速運転に入った新古里原発1号機を含めると21基の原発を完工させ、総電力消費の45%を原発で賄っている。原発依存度の高さは80%近いフランスに次ぐ水準になっている。原発の稼働率は93%と、60%に達していない日本より圧倒的に高い。
