横浜市の林文子市長(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 新聞各紙の報道によれば、横浜市の林文子市長が、横浜港運協会などの新年会で、誘致反対の姿勢を示す港運協会の藤木幸夫会長と顔を合わせたそうです。2人は談笑し握手までしたそうですが、林氏が会場を後にしてから、カジノについて聞かれた藤木氏は「誘致反対」の持論を意気軒高に語ったそうです。

 しかし、IR誘致で対立するまでは良好だった両者に、なぜこれほどの軋轢が生じてしまったのでしょうか。選挙戦に戻ってこれまでの流れを俯瞰したいと思います。

2017年横浜市長選の構図

 2017年の横浜市長選は、現職と新人2人の計3人が立候補を届け出ました。3選を目指す現職の林文子氏、元衆院議員の長島一由氏、前横浜市議の伊藤大貴氏の3人です。

 各候補者の支持状況はどうだったのでしょうか。

 前回の市長選は、自民、公明、民進(当時は民主)が林氏を推薦。今回は、過去の実績を高く評価する、自民支持層、公明支持層の過半数、さらに一部の民進の支持など全年代からの幅広い支持を取りつけます。

 結果的に、民進は横浜市議を辞職して出馬する伊藤氏の調整がつかず自主投票になります。その伊藤氏は、共産、自由からも自主的支援を取り付けました。長島氏は特定政党や団体の支持を受けませんでした。

 このような構図で横浜市長選は闘われました。