東京・金町浄水場の放射性ヨウ素、基準値以下に戻る

東京都が乳児の水道水摂取を制限したことを受け、都内の区役所でミネラルウォーターを受け取る乳児を抱いた母親〔AFPBB News〕

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 これとよく似たことが「ベクレル」と「シーベルト」にも言えます。1ベクレルというのは、1秒間に1回放射性物質の崩壊があるという「頻度」を表すもので[回/毎秒]という単位を持ちます。

 2ベクレルなら毎秒2回、10ベクレルなら毎秒10回の崩壊があるということです。そこでまず、このベクレルからお話しすることにします。

 誰もが気になる食品についてベクレルが使われる時には、さらに分量の問題を確認しなければなりません。

 例として、放射性ヨウ素131が混ざった水道水やミルクが、赤ちゃんにとって安全かどうか、を考えてみます。

 国の安全基準は、放射性ヨウ素131が1キログラム当たり100ベクレルを超える水は粉ミルクを溶くのに使わないようにと定めています。

 水を1キロ飲む赤ちゃんはいませんから、いま仮に哺乳瓶に100グラムのミルクを作るとします。

 すると1キロ当たり100ベクレルですから100グラムなら10分の1の10ベクレル、つまり哺乳瓶のミルクの中では毎秒10個ほどのヨウ素131がベータ崩壊を起こしてキセノンとなり、毎秒10個の電子が飛び出してくる、という状態になります。

温泉に含まれる放射線量とあまり変わらない

 ミルクの中から電子が飛び出す、などというと奇異に思うかもしれませんが、「健康に良いらしい」なんていって飲まれている各地の温泉のお湯には、けっこうな高濃度で放射性物質が入っているケースがあり得ます。

 この程度の分量であれば、自然界でも普通にあり得ることで特に問題はなく、これを飲んだ赤ちゃんも、あるいは大人であっても、仮に飛び出してくる電子で細胞や遺伝子が傷つけられても、十分に補修して健康を保つことができる量だ、ということになります。

 ホウレンソウなどの葉物野菜の放射線量として暫定規制値1キロ当たり2000ベクレルというのは、その野菜を1キロ持ってきたら1秒当たり2000個の電子が飛び出してくるという状態を指します。