導入の目的、効果の実感ともに、トップは「定型業務量の削減」
導入の目的について質問したところ、トップは「定型業務量の削減」(57%)となった。以下、「従業員情報の一元管理」(47%)、「作業コストの削減」(43%)と続く。下位の「組織活性化(コミュニケーション向上)」や「エンゲージメント向上(離職率低下)」、「従業員の健康管理」などは、どちらかというと「人事部門の外」にメリットを見出す目的と言えるが、今回の結果から、導入の目的としては「人事部門の作業軽減や効率化」が多数を占めることが分かった。
達成された目的は何かを聞いたところ、こちらも「定型業務量の削減」(29%)がトップとなった。
具体的な成果についてフリーコメントを求めたところ、「配置の情報管理、作業効率化」(301~1000名/サービス)、「情報が一元管理できたことで、経営陣が入れ変わっても、社員情報を過去履歴から見せられることができた」(300名以下/情報通信)、「従業員のメンタルチェック、離職予備軍の把握」(300名以下/マスコミ・コンサル)という声も寄せられた。
一方で、「達成された目的はない」と回答した企業が36%も存在している。フリーコメントによると、「まだ一部分しか導入できていないので、達成できたものはない」(300名以下/情報・通信)などの回答も見られた。導入間もないため、効果を測りかねている企業も多いようだ。
【図表3】HRテクノロジー導入の目的(導入企業)
【図表4】効果を実感した目的
導入企業が抱える課題は「必要データの洗い出しと収集」がトップ
HRテクノロジーを導入した企業が直面している課題について質問した。その結果、「必要データの洗い出しと収集」(43%)がトップとなり、2位以下に「削減コスト(人員・金額)の試算」(37%)、「目的・目標の明確化」(35%)、「必要予算の確保」(35%)、「経営陣の理解促進」(35%)、「HRテクノロジーを理解・活用できる人材の不足」(31%)が続く。
「機械」や「システム」には入力するデータが必要であり、社内のコンセンサスを得るには、結果データの有用性を示さねばならない。しかし、これが難しい。勤怠管理や賃金などはまだ分かりやすいが、採用応募者に関する情報や、従業員のキャリアやタレントに関する情報、研修の進捗度合いや目標管理、評価に関わる情報など、人事のデータは膨大だ。
どんなデータを入力するのか。そこからどんな成果が得られて、どんなメリットがあるのか。導入企業のフリーコメントでも、データにまつわる課題が散見された。
・HRデータの収集と分析から、何が導き出されるのかを、事前に明確化することが難しい。また、相当数ある種類のデータを精緻化し、一元的に合わせていくこと、タイムリーに取得することが難しい(1001名以上/メーカー)
・効果の説明と、社内展開が一筋縄ではいかない所(300名以下/メーカー)
・現状が見える化されていなかったため、課題を顕在化させることが難しかった(300名以下/情報・通信)
【図表5】導入した企業が抱える課題