最初はインデックスファンドから。分散投資が重要

――そう考えると、iDeCo(個人型確定拠出年金)は利益に税金がかからないうえ(通常の株式や投資信託では約20%の税金がかかる)、運用商品は投資信託で、原則として途中でお金を引き出せないので、仕組みとしてはとても理にかなっていますね。

GAIA中桐啓貴さん

中桐 やはり、これから積立投資を始めるならiDeCoがいちばんいいと思います。できれば運用商品は元本確保型ではなく、値動きはあるけれど長い目で見て利益を狙える、株式型の投資信託を選ぶべきでしょうね。

 最初は、インデックスファンドを選ぶのがいいと思います。市場平均に連動するので、価格が下がったときの後悔が少ないからです。運用コストが安いのも魅力ですね。最近は特にコストダウンが進んでいて、10年前と比べると信託報酬は1/3~1/4くらいになっています。

 投資に慣れてきたら、そこにアクティブファンドを加えてもいいと思います。私のお客さまには、ヘルスケア産業(医療や介護などに関連する産業)に投資するファンドを勧めたりしています。最近よく聞くようになったESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した企業への投資)というテーマも、長期の積立投資に向いているかもしれません。

 iDeCoは金額に上限があって、投資できる商品も限られているので、つみたてNISAや一般NISAも並行して活用したいところです。

 注意したいのは「ホームバイアス」です。日本人だから日本株に投資すればいいと思いがちですが、残念ながら日本の潜在成長率は高くありません。日本株は全体の10%くらいでいいと思います。あとは米国などの先進国株式や先進国債券、必要に応じて新興国株式も加えるなど、分散投資することが重要です。

――最後に、これから資産運用を始める方にアドバイスをお願いします。

中桐 投資はギャンブルとはまったく違って、全体として成長するものだという認識を持つこと。そして、投資は一生付き合っていく問題だということです。国に頼れる時代は終わりました。将来のお金は自分でなんとかしなければいけません。そのためには、お金や資産運用に関する知識を常に高めていく必要があります。

 よく飛行機にたとえて話をします。どうして飛行機が飛ぶかを理解していれば、機体が揺れていても怖くありません。仕組みがわからないから怖くなって、降りたくなるのです。「株式市場は右肩上がりで成長していく」という資本主義の仕組みを理解しているかどうかが、30年後にはものすごい差になって表れます。だから皆さまにもぜひ、『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』を通じて、長期積立投資の効果を知っていただきたいと考えています。