株式市場は成長するという「腹落ち感」が大事
――『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』を出したきっかけと、この本を通じて伝えたいことは何でしょうか。
中桐 本の表紙にもあるとおり、「一番シンプルな方法が一番儲かる」ということです。その方法が、長期積立投資です。
私は以前、証券会社に勤めていました。今はIFA(インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー)という、特定の資産運用会社に属さない立場で資産運用に関するアドバイザリー業務を行っています。その間、私は一貫して、最も効率のいい運用手法は積立投資ということでお客さまに勧めていました。私が2007年に出した『会社勤めでお金持ちになる人の考え方・投資のやり方』という本では、毎月5万円ずつ分散投資を続ければ、35年後には1億円になるということを書きました。
ところが、私がいろいろなセミナーで聞いた話やネット証券の調査を総合すると、せっかく積立投資を始めても、2~3年でやめてしまう人が多いようです。
主なきっかけは、リーマン・ショックのように市場環境が悪化して株価が下がったとき、下落に耐えられなくなることです。また、積立投資は結果が出るまで少なくとも3年くらいはかかるものですが、それまで待てずに売ってしまうパターンも見受けられます。
そういう方に5年、10年と積立投資を地道に続けてもらえるように、私が日々考えていることをできるだけわかりやすく伝えたいというのが、この本の狙いです。
――なぜ積立投資を続けるのは難しいのでしょうか。
中桐 長い目で見て、株式市場が右肩上がりで成長していくことに対する理解、腹落ち感がないことがいちばんの問題ではないでしょうか。
積立投資を始める人自体は最近とても増えているのですが、それは周りがやってるからとか、NISAのような税制優遇制度があるからとか、おそらくそんな理由が多いと思います。その動機だけでは、続けるのはなかなか難しいと思います。
この本では、資本主義とは何かという話から始まって、資本主義経済は必ず成長するという事実、そこで世界の株式に分散投資すれば年6~7%の割合でお金が増えていくことを説明しています。そのことを理解していれば、たとえ一時的に株価が下がったとしても、また上がると信じて投資を続けられます。
今後10年、20年のうちにバブルや経済危機は必ず起きます。高値から見ると半分くらいの価格になることも考えられます。そこをきちんと乗り越えなければ投資は成功しません。