危機を恐れる人間の本能とどう向き合うか
――実際にマーケットが大きく下がったら、不安になってしまう方は多いと思います。
中桐 人類の長い歴史の中で、みんなが食べられるようになったのはここ50年くらいの話です。それまで世界には戦争や飢餓がはびこり、常に命の危険におびやかされていました。その時代の記憶は、今の私たちのDNAにも埋め込まれています。だから株価が急激に下がるなどの危機が訪れると、本能が自分の命を守るための信号を発信します。長期的に考えれば株価の下落は一時的なものなのに、人は本能に突き動かされて、非合理的な行動をしてしまう。それは仕方のないことです。
そうした本能の衝動に抗って、相場が下がっても積立投資を継続することが重要ですが、それには鍛錬が必要です。慣れないうちは本当に難しいものです。今はスマホがあれば投資信託でも何でも簡単に売れてしまうので、つい感情的に売ってしまいたくなります。そこでパニックにならずにひと呼吸置くためには、誰か信頼できる人に相談するのがいいと思います。手前味噌になりますが、そういうときに私たちのようなファイナンシャルアドバイザーを活用していただきたいと思います。
――確かに、増えると期待して投資しているのに、一時的であれ大きく減ってしまうと、期待と現実の落差を自分ひとりで受け止めるのは難しいかもしれませんね。
中桐 第三者だからこそ冷静に判断できるのが、ファイナンシャルアドバイザーのメリットだと思います。ガイアでは、相場が大きく下がったときにもお客さまに安心していただけるよう、アドバイザーがお客さまに電話したり、市場の動きについて動画を配信したりします。だから私のお客さまには、相場が原因で積立投資をやめる方はいません。
短期売買で成功できる人はいない
――投資で失敗してしまう人は多いですが、なぜ失敗してしまうのでしょうか。
中桐 特に男性に多く見られるのですが、「自分は投資がうまい」と思い込んでしまう方がいます。個別株投資で大きな利益を狙おうとか、最近だとビットコインに投資したりとか、そういうハイリスク・ハイリターンの世界に行ってしまいます。これも人間の本能に関わる話ですが、お金が減るかもしれないというリスクを取って投資しているわけですから、早くお金を貯めて早く安心したいという思いが強くなるんでしょうね。
世界の株式に分散投資すれば年6~7%の利益が狙えるといいましたが、もし実際に年利7%で運用できれば、10年でほぼ倍、30年で8倍になる計算です。20代から30代の資産形成層の強みは時間があることです。月5万円、あるいは3万円でもいいので、早い時期から積立投資を始めれば、そのお金が30年後には大きく育って、安心した老後生活を送れると思います。
短期売買でお金持ちになれる人はほとんどいません。基本は投資信託のような値動きが比較的おだやかな商品に、長期で投資することです。