さて制度論はさておき終身雇用制度の変革は、個人にとってはいかなる意味を持つのか? ピンチはチャンス、日ごろの心構え次第では、多くのビジネスパーソンが、人事制度変更により幸せの面積を増やせることも知ってほしい。

 以前書いた本で私は、個々人の市場価値の数式をこう記した。

「個人の市場価値」=「スキル」×「実績」×「変革心」×「気合い」

 実は外資の人財が強いのは右2つ、「変革心」と「気合い」なのだ。

 日系企業人財は左側、「スキル」や「実績」では決して引けをとならない。私は日系企業で人事部を経験し、欧米企業で経営経験を積んだ。その結果、日本人が思っているよりもはるかに日本のビジネスパーソンの市場価値は高いと確信を持った。追い詰められて尻に火がつけば、過半の人が本領を発揮し、想定したほど悪い処遇ではなく次を見つけているのはそのためだ。

 逆に使えない人財は日頃迎合することになれて枯れてしまった人だ。火のつかない人財はどこでも疎まれる。

あなたの「エッジ」は何か

「あなたのエッジはなんだ?」と聞かれて、「ありません」と控えめなふりをして、“謙虚仮面”をかぶるのはやめよう。「言わなければクビにするぞ!」と言われたら真剣に考えるはずだ。そのとき口にした強みをひたすら磨き、軋轢を恐れずなすべきことに挑戦し続ければ必ず勤務環境選択の自由を獲得できる。

 私のかつての部下たちも、破綻企業からの参画が少なくなかった。実体験からの教訓だ。