システム導入により、各事業場の産業医活動を本社が把握
鈴木 また、従業員約5,000名規模のサービス業、B社様では、実のある産業医活動ができていないという課題をお持ちで、特に休職・復職対応、メンタルヘルス対応に苦慮されていました。現在では、全国に約70ある事業場のほぼすべてで『産業医サポートサービス』を導入されています。B社様では、全国に数多くある事業場の状況を本社で把握することが難しいとお悩みでしたが、『M Connect』の連絡レポート機能により、メンタル不調者の早期対応を本社主導で行うことができるようになったとのことです。従来はメールで担当者に送っていた産業医活動の各種データも、『M Connect』上でやりとりできるため、時間の短縮が図れていることに加え、産業医が巡視を行って指摘した職場環境で改善すべき点を、本社が的確に知ることができ、「医師の声でもあるため、上層部への報告と改善がスムーズに進んだ」との声もいただいています。
もう一つ、従業員約1,000名規模のC社様では、5つの事業場で『産業医サポートサービス』を導入され、約2年が経過しています。C社様では、産業医活動の実態はあるものの、メンタルヘルス対応が行われないなど、活動にムラがあることを課題に挙げており、メンタルヘルス対応と、従業員の高齢化に伴い健康指導にも力を入れたいとの意向を持っていました。そこで、導入後は、当社を通して複数の医師にヒアリングを実施。これをもとに事業場間で健診結果を確認する際の基準や方法の統一を図られています。この結果、健康問題を抱える社員への的確な健康指導が行えるようになりました。今後は、産業医を未導入の小規模事業場にも『M Connect』を導入し、産業医活動を統一化することを検討されています。
「コスト」ではなく「投資」として捉えたい産業医活動
── 企業の経営に対する産業医サポートサービスの貢献、また、社会に及ぼす影響について、お考えをお聞かせください。
鈴木 少子高齢化が進み、労働人口が減少しつつある現在、メンタルヘルス不調をはじめ、健康問題による休職をできる限り少なくして貴重な人材の欠落を防ぎ、労働生産性を向上させることは企業の喫緊の課題ではないでしょうか。私どもの産業医サポートサービスは、その課題に対応し、健康経営の推進、労働生産性の向上に貢献できると考えています。また、多くの企業が産業保健活動を正しく行える状況が生まれることは、高齢者になったときに病気になりにくい素地を現役で働いている間につくる、予防活動としての意味があります。社会的にも、今後さらに増大が見込まれる国の医療費の削減に寄与するサービスであると考えています。
── 産業医サポートサービスに関心をお持ちの人事担当者の方々には、どのようなことをお伝えになりたいですか。
鈴木 特に、メンタルヘルス不調による休職・復職対応にお困りの人事担当者の方々は非常に多いと感じています。対応に奔走されているにもかかわらず、復職してもまた休職する、結局は退職されるというケースも多いのが現状のようです。しかし、適切なステップを踏めば、休職・復職対応は必ずしも難しくありません。当社のお客様からは、「今までは不調者が発生するとそのまま退職となっていたが、産業医が復職への道筋を人事担当者と本人に説明し、慣らし勤務や時短勤務を経て復職に至った」という声もいただいています。お気軽にご相談いただきたいと思います。加えて、産業医活動に関しては、ぜひ、コストではなく、企業の生産性を上げる投資として捉えていただきたいと考えています。
取材を終えて
医師の転職情報サイト「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」を運営し、登録医師のうち産業医が6,000名にも及ぶことは株式会社エムステージの強みだ。産業医サポートサービスには、医師紹介事業の実績を持ち、企業実務に通じた特定社会保険労務士や産業医を顧問とする同社のノウハウやネットワークが集約されている。システムの導入により、産業医活動に関する情報共有と見える化が図れることも先進的なポイントだろう。実効性ある産業保健活動の推進を目指す企業にとって、大きな力になりそうだと感じられた。