(北村 淳:軍事社会学者)
本年(2019年)5月と6月に、ホルムズ海峡に隣接するオマーン湾で、合わせて6隻のタンカーが攻撃された。この事件を受けてアメリカのトランプ政権は、多国籍海軍部隊である「有志連合」(参加を表明する国が少ないため、その後名称を「海洋安全保障イニシアチブ」に変更した)を結成して、アラビア半島周辺海域、とりわけ「ペルシア湾~ホルムズ海峡~オマーン湾」での公海航行の安全を確保する構想を打ち出している。
ただし現在のところ「海洋安全保障イニシアチブ」への参加を表明した国はイギリス、オーストラリア、バーレーン、アラブ首長国連邦など少数に留まっている。
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日本政府の妥当な決断
アメリカの同盟国であり、かつホルムズ海峡を通過する石油タンカーの仕向地第3位の日本に対しても、当然、アメリカ政府は参加を要請した。しかしながら、日本政府・国家安全保障会議はアメリカ主導の「海洋安全保障イニシアチブ」には参加せず、独自に海上自衛隊艦艇をアラビア半島周辺海域に派遣する方針を決定した。