2021年4月までに、障がい者の法定雇用率は2.3%まで引き上げられる
ここからは「障がい者雇用・支援」についてレポートする。障がい者雇用については、厚労省から「法定雇用率」が設定されていることをご存知だろうか。2018年4月1日から、民間企業の障がい者の法定雇用率が2.0%から2.2%へ引き上げになるとともに、対象となる企業の従業員規模が50人以上から45.5人以上へ引き下げられた。また、2021年4月1日までには、民間企業の障がい者の法定雇用率がさらに2.3%へ引き上げになる。
こうした法定義務に関する認知度を調査したところ、「2018年4月1日施行」の法定雇用率引き上げについては84%が、「2021年4月1日まで」の法定雇用率引き上げについては75%の企業が認知していた。
以下、日本の障がい者雇用の実状について迫りたい。
【図表9】2018年4月1日からの障害者法定雇用率引き上げに対する認知度
【図表10】2021年4月1日までの障害者法定雇用率引き上げに対する認知度
7割の企業が障害者を雇用。300名以下の中小企業では45%にとどまる
障害者雇用の有無について質問したところ、全体の7割が「雇用している」と回答した。従業員数1001名以上の企業では94%、301名~1000名の企業では100%と高い数値を示している。
一方で、従業員数300名以下の企業では、雇用率は45%にとどまった。
法定雇用率を達成できない場合の「罰則」として、常時雇用している労働者数が100人を超える企業に対しては、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて、1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付することが義務付けられている(従業員数100人以上200人以下の事業主については、不足する障がい者1人につき月額「50,000円」を「40,000円」に減額される特例あり)。
【図表11】障がい者を雇用しているか
雇用の目的は「法定の障害者雇用率の達成」が9割
前項で「雇用している」と回答した企業に、その目的を質問したところ、「法定の障害者雇用率の達成」(87%)がトップを占めた。
続いて、「CSR(企業の社会的責任)」(46%)、「ダイバーシティ(多様性の受容)」(35%)と続く。その他、「ノーマライゼーション(障がい者との共生)」(22%)、「人員不足の解消」(12%)という積極的な回答も一定数存在した。
この結果から、回答数の9割を占める「法対応」が、障がい者雇用に対する企業の本音と言えるのだろう。
【図表12】障がい者雇用の目的
非メーカーのほうが障がい者雇用に積極的
最後に、障がい者雇用についての考えを質問した。結果は、「採用ニーズに合う能力のある人材がいれば障がいに関わらず雇用したい」(47%)がトップを占め、「法定雇用率にあわせて採用したい」(38%)を10ポイントほど上回った。
また業種別で見ると、「採用ニーズに合う能力のある人材がいれば障がいに関わらず雇用したい」と「法定雇用率を超えて積極的に雇用したい」という雇用に積極性が感じられる回答合計が、メーカー(43%)よりも非メーカー(62%)のほうが高いことも分かった。
従業員数の少ない中小企業にとって、「多様な働き方」や「ダイバーシティ受容」の実現は、遠い将来の話かもしれない。しかし、こうした取り組みが、近年の「採用ブランディング」に一役買っている、という事実も付記しておきたい。
【図表13】障がい者雇用についての考え
【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「多様な働き方」実施状況に関する調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年3月5日~3月12日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事ご担当者様・働き方改革、女性活躍推進等ご担当者様
有効回答:166件
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