列車走行音の響くトンネルは時を超えて

 18本のトンネルが続く今回の廃線ウォークでは、道中が単調にならないようにさまざまな工夫がされている。過去から現在まで、この路線に多くの人が関わったことを感じてもらいたいという主催者の熱い想いが伝わってくる。3号トンネル内では、廃線当日の映像がトンネルの壁に投影された。

3号トンネル内では想い出の映像をトンネルの壁に投影

 3号トンネルではもう一つ仕掛けが用意されていた。既存の設備を一部利用してトンネル内の照明と信号が点灯されたのだ。廃線以前、運転士だけが見ていた光景が再現され、参加者からは歓声が上がった。

点灯された蛍光灯の光が等間隔に並ぶ

 さらに、主催者が当時の列車の走行音をパソコンから流す。まるで、すぐ後ろから列車が追いかけてくる気がして、つい後ろを振り返りたくなる。

青い光を放つ信号機。当時の運転士も同じ光を見たのかと思うと感慨深い

秘境駅になりそこねた熊ノ平の「不思議」

 3号トンネルを通り抜け、ようやく中間地点の熊ノ平にたどりつく。久々の広い空間だ。足元が不安定で暗い線路を歩くのは、それなりに神経を使うようで、通常の道を歩くよりはかなり疲労感がある。

 昼食として、横川駅の駅弁として全国的に有名なおぎのやの「峠の釜めし」が配られる。これもこのイベントの楽しみの一つだ。峠の釜めしがこれだけ有名になった要因の一つが、碓氷峠の存在だと考えられる。横川と軽井沢では機関車を増結するため、各駅停車だろうが特急だろうが、必ず数分間停車しなければならない。このため乗客はこの停車時間の間に釜めしを買う、というパターンが定着したわけだ。

中央に立っているのはトンネル内の落石などを知らせる信号機。左は熊ノ平変電所跡

 熊ノ平は以前駅があったところで(1966年に廃止)、2つのプラットフォームも形をとどめている。しかし、人家もないような山の中になぜ駅が作られたのか。現在でも営業されていたら「秘境駅」として注目されるのは間違いない。

 そしてもう一つ不思議なのが、トンネル入口の多さ。横川側に4つ、軽井沢側に3つもある。これはなぜ?

 その成り立ちを調べると、この場所が碓氷峠の廃線区間を一番象徴している、重要な場所であることがわかってきた。その説明は後編で。
126年の想いが刻まれた7つのトンネルとレンガ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57914