栃木県宇都宮市にある大谷資料館(大谷石地下採掘場跡)。大谷石(おおやいし)を採掘した跡地を生かし、年々入場者数を増やしている観光スポットだ。前編では大谷資料館の地下に広がる地下空間について、その全体像を紹介した。前編の記事はこちら。
からっぽの廃空間に驚きの使いみち
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56392

 地下空間に対峙すると、その大きさと不思議な光景に目を奪われる。だがそれだけではなく、石を切り出した後の岩肌をより注意深く観察すると、いろいろなものに気づくことができる。大人の社会見学として訪れるなら、”資料館“を徹底的に楽しまなければもったいない。

 NHKの番組「ブラタモリ」でも宇都宮の回(2018年9月22日放送)でここを訪れたのを見た方もいるだろう。タモリも気づかなかった大谷石採掘の苦労と、地下空間の意外な用途に迫っていこう。

石壁に咲く“華”とは

 階段を降りてまず地下空間を味わった後は、視線を岩壁にぐっと近づけてほしい。壁のところどころに、照明をうけて白く輝く綿毛のような結晶が見えるはずだ。

階段横の壁は、白と茶色のまだら模様になっている

 同行してくれた大谷資料館の鈴木洋夫館長は「私たちは、“石の華(いしのはな)”と呼んでいます」と話す。石の華とはなんともしゃれたネーミングだが、いったいこの白い結晶はなんだろうか。

壁に目を近づけると白い針状の結晶のようなものが見える

 この白い結晶の正体はゼオライト。ゼオライトとは、表面に多数の微細な孔を持つ鉱物の総称で、石の華はゼオライトが石の表面に吹き出て結晶化したものなのだ。ゼオライトはマイナスイオンや遠赤外線を出すなど、米や酒の貯蔵にもよい効果をもたらすという。