「先生たちがいいようにやってくれているんでしょう」と患者さんから言われることがある。あえて反対はしない。しかしながら、素直に賛成できない。
なぜなら、医療機関同士や医療従事者同士の情報伝達が上手くいかず、患者が不利益を被っていることが多いからだ。
薬の重複処方、過剰投与、未投与、患者取り違えなど、医療者間のミスコミュ二ケーションが原因とされている医療事故も多い。
IT技術が進歩した昨今、医療情報の扱い方が変わりつつある。
従来、病院や薬局が保管してきた個人の医療データを患者自らが管理しようという試みが始まっている。
「Personal Health Record(PHR)」と呼ばれ、米国がリードしているる。
米国のVA(退役軍人省: Department of Veterans Affairs) は、退役軍人に対し「My HealtheVet」というPHRサービスを提供している。
血圧、体重、心拍数はもちろん、過去の家族歴、軍歴、検査結果、処方歴、アレルギー情報、さらに受診予約状況がオンラインで閲覧できる。
米国では、2009年にHITECH法(The health information technology for Economic and Clinical Health)を制定し、患者が自らの医療記録にアクセスできるようにする体制整備を進めている。