「働き方改革」ですぐに実行できる施策事例7選

 2019年4月1日から順次施行が始まった、働き方改革関連法。雇用の安定、柔軟な働き方の実現、格差の是正、時間外労働の規制、高度プロフェッショナル制度……など、内容は多岐に渡り、企業にさまざまな義務を課すものとなっている。その対策について、ユニークな事例をまとめてみる。

長時間労働の是正のために、残業と無駄な時間をなくせ!

 2018年6月、労働基準法が改正された。それも「昭和22年の同法制定以来、約70年ぶりの大改正」と政府がアピールするレベルの改革だ。

 最大のポイントとされるのが、時間外労働についてだ。これまでは「労使間で“36協定”を締結すれば月45時間・年360時間の時間外労働が可能」というのが原則だったが、この時間はあくまで目安に過ぎず、法的拘束力も罰則もない。「だから過労死はなくならない」との批判にもつながっていた。

 そこで「月45時間・年360時間」の明文化に加えて「臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも年720時間以内」などと規制し、違反した場合の罰則も盛り込んだのが今回の改正の骨子である。

 大企業に対しては2019年4月から適用が始まっている(中小企業では2020年4月から)こともあり、一連の働き方改革関連法の中でもトップクラスの重要度・注目度を持つものとなっている。HR総研が企業に対して実施した『働き方改革実施状況に関するアンケート』(2016年10月実施※1)でも、働き方改革の具体的取り組みとして「労働時間の短縮」が81%で第1位となったほどだ。

「ノー残業デー」の導入や勤怠・労務情報を細かく管理できるクラウドサービスの利用など、労働時間短縮のための手法は数多いが、よりユニークで、従業員個々に「働きすぎないよう」という意識を醸成させるための施策に乗り出す企業も増えている。

(1)労働時間短縮施策「残業チケット」
 3DCG制作プロダクションのピコナは、残業を申請するためのチケットを毎月7枚だけ配布する「残業チケット」制を導入した。申請に対する決済は社長自ら行い、しかも本当に必要な残業かを精査。却下されるケースも多く、結果、安易な申請がなくなり、時間外労働の80%削減に成功したという。

(2)労働時間短縮施策「ペーパーレス」
 残業や労働時間超過を防ぐためには、まず日常の業務から無駄をなくそう。そうしたロジックをもとに、味の素ではペーパーレス化を推進した。例えば、同社の経営会議では1ヵ月に配付資料として1万8,000枚も作成していた。完全ペーパーレス化したことで、書類の作成、印刷にかかる時間を最初の2ヵ月だけで630時間も短縮できたという。さらに、会議そのものの時間も3時間から1.5時間に半減。新たな時間の創出に成功している。

(3)労働時間短縮施策「フリーアドレス」
 従業員に固有の席を与えず、「社内のどこで仕事をしてもいい」と自由度を与えるフリーアドレス(座席の自由化)も注目されている施策。移動などの無駄な時間の削減・作業効率化が図れるだけでなく、従業員自ら考えて行動するという意識の醸成、部署を越えたコミュニケーションの活性化などにもつながる施策として、キユーピーや、ベビー用品のピジョン、日本航空など取り入れる企業は増加中だ。また、5時間ごとにコンピューターが座る席を指定するというカルビー、2時間ごとに席を指定&立ち会議を推奨するコクヨなど、一歩進んだスタイルを取り入れる企業も現れ始めている。