(山田 珠世:上海在住コラムニスト)

 今年も夏休みを利用して、家族で福岡の実家に帰省した。

 福岡の透き通った空気を思う存分吸い、海で泳ぎ、おいしい食べ物を満喫した。お店に入れば店員さんは笑顔で迎えてくれるし、道行く人も優しい。普段上海に住む私たち家族にとって、年に一度の帰省は、心も体も充電できるビッグイベントとなっている。

 そんな、家族全員が期待に胸を膨らませ、毎年心待ちにする日本への帰省だが、私にとっては1年で一番緊張する時間でもある。3人の子どもたちが“粗相”をしないかと目を光らせていなければならないからだ。

 今年は一番下の娘が4歳になり、ベビーカーを使わなくなったので、昨年(2018年)の帰省時ほど大変ではなかった。それでも、飛行機に乗っているとき、そして公共交通機関を利用しているとき、娘が突然ぐずり出さないか、子どもたちが大きな声でケンカしないかと、ハラハラしっぱなしだった。

バスの中で謝り続けた子連れ女性

 日本では、とりわけ小さな子どもを連れて外出すると、神経をすり減らされる。世間の子どもに向ける目が厳しいと感じるのは、私だけではないはずだ。

 今回福岡から上海に戻る際、福岡空港国内線ターミナルから国際線ターミナルまでを結ぶ連絡バスに、娘を膝に抱っこして座った。すると、ベビーカーに2歳くらいの子どもを乗せた女性が乗ってきた。