慰安婦や徴用工などの過去の歴史問題に固執する人たち。韓国はなぜ「いま」の問題へ目を向けないのか。これからの日韓外交はどこへ向かっていくのか。ジャーナリスト櫻井よしこ氏が、『統一日報』主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏と、日本人の想像を超えた韓国社会について語り尽くす。(JBpress)
(※)本稿は『韓国壊乱 文在寅政権に何が起きているのか』(櫻井よしこ・洪熒著、PHP新書)より一部抜粋・再編集したものです。
文在寅がとり憑かれる妄想
洪熒氏(以下敬称略):たとえば普通の先進国で大企業・組織に所属する人びとや、社会的に責任ある地位にいる人たちは、未来のための投資や後継者の育成、次世代の教育について、多かれ少なかれ関心や問題意識をもっています。
ところがいま、左翼メディアが国民を洗脳している韓国では、国家や人類の未来にまったく関心のない人びとが増え続けています。とくに政治家のなかで、韓国の未来や文明の進化にまったく無関心の議員が多い。
まさに文在寅をはじめ従北勢力がその典型であり、彼らはただ「平等な社会をつくればよい」「金持ちから資産を奪い、自分たちが富を分配する」という妄想に憑りつかれている。彼らの最大の特徴は、他人や他国の過去ばかりあげつらって現在、未来を見ないという点に尽きます。
過去しか見ない人
櫻井よしこ氏(以下敬称略):文在寅政権や、慰安婦や徴用工などの歴史問題に固執する人たちがまさにそうですね。
洪:自分たちが権力を握るために過去を掘り起こし、「こいつが悪い、あの国が悪い」と強調し、「階級的敵対感」を煽っているわけです。
私は、慰安婦問題の本質をこのように見ています。以前から申し上げたように、世の中には「過去しか見ない」あるいは「見えない」人間がいる、ということ。
彼らは未来にまったく関心がなく、過去に執着する。正常な人間ならば、相手の過去をほじくるよりも自分個人や国家の未来を案じ、将来の世代のために何ができるかを考えます。
企業や組織でも、たんに目先の利益だけではなく、将来の存続と発展を考えて投資を行ないます。ところが、そうではない人間が一定の割合で存在するわけです。