どこの地方都市も、たいがい駅前の商店街は昼間からシャッターの下りた「シャッター通り」となっている。郊外の大型ショッピングモールに客を取られて、昔からあるお店がどんどん潰れているのだ。明らかに現代の消費文化の流れの中で、後れを取った状況にある。

 活性化が叫ばれているが、お店を出す側にしてみれば、人通りが少ないことからリスクが大きいとして二の足を踏む。逆に顧客の方は、店がないから行かないという。これでは鶏が先か、卵が先かということになってしまって、まったく埒が明かない。

悩める「銀座」

 私の住む周南市でも、かつて徳山駅周辺は「銀座」という東京にちなんだ地名にふさわしく、通りが人でごった返すほどの賑わいを誇ったという。しかし今、その面影はかけらもない。もはや名前だけが仰々しく残り、哀れさを誘いさえする。

 昔からお店を構えているという洋品店のご主人に聞くと、皆プライドがあるんじゃないかという。「この辺の店は皆老舗じゃから。いい店ならお客の方から来よったんよ」

 しかし、そんな牧歌的な時代はもう終わった。今やものは溢れており、どこに行ってもいいものが買えるのだから。

 「でも、誰もこのままでいいとは思うとらん・・・」。うつむきがちにそうつけ加えるご主人の顔には、プライドと現実の間で悩む苦渋の表情が浮かぶ。

 そこにしかないものなど滅多にない。そんなお店がよほど集積しているなら別だが、わずかでは商店街全体の集客にはつながらないのだ。いったい人々は何を求めて商店街にやって来るのだろうか。

ようやく国も腰を上げた

 国もようやく重い腰を上げたようだ。国土交通省は、地域住民による自主的なまちづくりを支援する制度を導入する。多額の借金を抱える地方自治体にまちづくりを主導させるのは困難とみたからである。住民の自主協定に法的効力を持たせて実効性を担保したり、資金面での支援をすることも検討しているという。

 また、経済産業省も、商店街を活性化させるための法律の中で、人材育成や子育て支援といった、少子高齢化社会に対応したソフト戦略を打ち出す。例えば、子育て支援のための託児所を作ったりする場合には、従来よりも補助金の割合が引き上げられる。

 しかし、これまで以上に金銭面で補助してもらえるようになったとしても、知恵がなければ猫に小判だ。商店街に人々が集まってくるだけの魅力、理由がなければ、活性化にはつながらない。では、いかにすれば活力を取り戻し、商店街に賑わいを創出することができるのだろうか。