明らかにおかしな事件の報道が相次ぐと思っていた矢先、絶対にあってはならない放火事件の報道がもたらされました。
「模倣犯防止の絶対的要請」という観点から、以下考えてみたいと思います。
ガソリンの携行缶販売?
NHKの報道によると、火事の30分ほど前、現場からおよそ500メートル離れた場所にあるガソリンスタンドで、22リットル入りのガソリン携行缶2つを手押し車に乗せた男が、ガソリン40リットルを購入していたとのこと。
男は「発電機に使う」と説明して、ガソリンを購入、手押し車に載せて去っていったとのことで、警察は、このガソリンと火災との関連を調べているとの報道があります。
私がこの報道を見て最初に思ったのは「ガソリンの携行缶購入は禁止されているのではなかったか?」という先入観でした。
実際、調べてみると、車の給油タンク以外へのガソリンの購入はセルフスタンドでは禁止されており、有人のスタンドでのみ可能、かつ、法で定められた金属製の携行缶を用い、容器は22リットル以下でなければならない、と定められていました。
逆に言えば、法で定められた金属容器を用いて有人スタンドで給油する限り、誰でもガソリンを携行缶で購入できてしまうことになる。
おかしな通り魔事件が続くなか、今回の放火の詳細な報道が、むしろ模倣犯の発生を後押ししたりしないかというのが、最も懸念されるポイントにほかなりません。
報道の中に「犠牲者の冥福をお祈りするとともに、全容が解明されることを願う」という論調を目にしたのですが、私は「全容の解明」が第2に来るべきだとは正直思いませんでした。
一番大切なのは「再発の防止」ではないのか。そして、その観点からすれば事件の「全容の解明」は必要なことではありますが、犯行の詳細や、それが甚大な被害を生み出してしまったメカニズムの解説は、むしろ模倣犯の発生を助長しかねないのではないかという強い疑問を抱かざるを得ません。