(大西 康之:ジャーナリスト)
筆頭株主のヤフーから「事実上の解任」を突きつけられたオフィス用品・日用品ネット通販大手、アスクルの岩田彰一郎社長が18日、都内で記者会見した。個人向けネット通販事業「ロハコ」の譲渡を求めるヤフーを「成長事業の乗っ取り」と激しい言葉で批判した。
アスクル・岩田社長は徹底抗戦の構え
アスクルは2012年にヤフーと業務資本提携し330億円の第三者割当増資で約43%(現在は45%)の出資を受け入れた。アスクルの品揃え、物流システムとヤフーのネット決済、集客力を組み合わせてアマゾン・ドット・コムなどに対抗する戦略で「ロハコ」を立ち上げた。
両社の提携はうまくいっていたはずなのだが、2019年1月、ヤフーが突然「ロハコ」の譲渡を求めてきた。安定事業の「アスクル」と成長事業の「ロハコ」を経営の両輪と考えるアスクル経営陣は、ヤフーの申し出を拒否。すると6月27日、ヤフーが「次の株主総会でヤフーは岩田社長の再任に反対する」と通告してきた。
岩田社長は「上場企業の指名委員会が決めたトップ人事が大株主の一存で覆るようでは、日本企業のガバナンスは形骸化してしまう」と徹底抗戦の構えを見せている。