恐らく首相の配慮だったのであろう。日本で高校や大学に通ったケニア人競技者たちを急ぎ集めて連れて行くことにしたのに違いない。

インドの首相がしたこと

 インドではマンモハン・シン首相が3月14日、国会で演説に立ち、「日本が最も多くの海外援助をインドに与えてくれていることを、われわれは決して忘れるわけにいかない」と議員たちに語りかけ、3日後の17日にはニューデリーにある日本大使館へ弔問の記帳に訪れた

 南アフリカや豪州、ニュージーランドから急ぎかけつけた捜索救援チームの活動は、滅多に報じられることがなかった。英国からの人々も。いずれこの人たちの見たもの、感じたことを、丁寧に掬い取るメディアの活動があってほしい。

痛ましいアメリカ人女性の死

米ワシントンの「桜祭り」からも震災義援金、日米友好の桜

米ワシントンD.C.で毎年恒例となった桜まつり。今年は一部を有料として東日本大震災への義援金とすることを決めた〔AFPBB News

 米国ワシントンでは、3月23日の午後6時から、元JETたちによる義捐金集めの会が開かれる。

 周知の通りJETとは英語の補助教師(ALT)、自治体の国際化支援要員として主に英語圏から来日し働く若者のことで、設立以来の経緯によって米国からの参加者が最も多い。

 JET同窓会ワシントン支部が開く上記の集まりに参加する者には、おのおの10ドルずつ寄付することが求められている。

 そしていま、24歳の女性、テイラー・アンダーソンがフェイスブックに持っていたページを見つけた。

 石巻市の万石浦小学校でALTとして働いていた、ヴァージニア州リッチモンド出身の彼女は、地震発生直後生徒を校庭へ誘導し、迎えに駆けつけた親たちに子供を一人ひとり引き渡した。それでも残った生徒たちを、海抜の高いところへ行くよう誘導した。

 終えると自分は自転車に乗り、近くのアパートに取って返した。何か、どうしても持っておきたいものがあったのだろうか。その、急いでペダルをこいでいく後姿が、彼女を見た人にとって最後の姿となった。

 リッチモンドに残された両親と撮った写真がブログにある。中学の時から、日本語と日本に興味を持ち、大学で勉強を進め、JETとして日本に2008年夏から暮らしていた。