努力しても報われない。そんな経験は、僕も何度だってしてきた。でも、やり切ったからこそ、わかったこともある。果たして、報われなかったことに意味がなかったのか。

 そんなことはない。

 失敗したとしても、やってきたことには、次の成功のカギがあった。そして、そのカギは次の成功の扉を開けてくれた。だからなにかを成し遂げられなかったとしても、うまく行かなかったからといって諦めないでほしい。

 大事なのは、やり続けることだ。

 決して成功している人と同じことをやる必要はない。自分には自分の強みがある。自分らしさを武器にして戦えばいい。

 失敗したから成功の道がないわけじゃない。
 成功したから失敗の道がないわけじゃない。

 どちらもひとつとひとつ。やっぱりダブルだ。どちらも同じくらい、大事な意味を持っている。

 コンプレックスが教えてくれたことは、とても大事なことだった。

 ひとつが半分になるのではなく、半分はひとつひとつ。

 サッカーをとおして、僕はコンプレックスを克復し、完全なる日本人の酒井高徳として、完全なるドイツ人の酒井高徳として、今を生きている。

 きっと、これからもダブルとして、生きていく。

 そんな僕の言葉が、みなさんの心に少しでも残ってくれればうれしい。
酒井高徳選手サイン会情報:6月15日(土)17時30分より東京八重洲ブックセンター8Fにて開催

発売された酒井高徳の自著。