「中途半端」ではない上原浩治の経験
上原浩治の象徴でもある背番号「19」は、この浪人の年――19歳のときの気持ちを忘れないことから来ている。
その後、「反骨心」を胸にプロ入りした上原は、圧倒的な数字を残してきた。
日米通算100勝100セーブ100ホールド。
会見で自身を「先発、中継ぎ、抑えとどのポジションも全うせず、中途半端だった」と称したが、そんなことはない。
1年目には、20勝4敗、勝率.833、179奪三振、防御率2.09という驚異的な成績を収め、最多勝利、最高勝率、最多奪三振、最優秀防御率の投手主要4部門のタイトルを総なめ。当然のように新人王、沢村賞を獲得するなど、センセーショナルな存在となった。
日本一にクローザーとしてワールドシリーズ制覇も果たし、ワールドベースボールクラシックでは日本代表として活躍・・・数々の栄誉は決して「中途半端」なものではない。
そういえば、こんなことも言っていた。
「若い頃にやっておけばよかったこと」という問いに対して、「これまで経験してきたことをメモなどにまとめておけばよかった」と言ったあとのこと。
「経験にまさるものはないです。例えば、僕はワールドシリーズを経験させてもらって、胴上げ投手にもなることができた。だからそのことについては話ができる。結局、何事もやる、挑戦してみる。やらずに後悔するよりやって後悔したほうがいい」
もし、中途半端だったとしても「経験した」からこそ語れるものが上原浩治にはある。
圧倒的な反骨心と経験。唯一無二のそれは、これからの野球界にまだまだたくさんの光を与えてくれる。