キムリアの場合、8万100円+(3349万円-26万7000円)×1%=41万2330円となる。残りは、社会保険料と税金で賄われるのである。

 因みに、69歳以下でその他の年収の自己負担上限額は、
(1)約1160万円以上:25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
(2)約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
(3)約370万円以下:5万7600円
(4)住民税非課税者:3万5400円
 である。

 この制度のおかげで低所得であっても安心して医療が受けられるのであり、現在の日本の国民皆保険制度は高く評価されてよい。しかし、高額医薬品が次々と登場すると、そのような事態を前提にしないで設計された公的保険制度そのものが維持できるのかという問題が出てくる。

国家予算の4割に匹敵する国民医療費

 私が厚労大臣のときに、月の医療費が最高だった患者のケースで1500万円だったが、健康保険組合連合会によると、2017年度では1月の医療費が1000万円以上の件数が532件で、前年より48件増加し、過去最多であった。そのうち、2000万円以上が72件で、これも過去最多である。5000万円以上は1件で、7915万7950円であった。この医療の高額化は、まさに新薬、新技術の開発の結果であると言ってよい。

 しかし、患者にとっては、新薬、新技術の開発は命を救う朗報であり、いつ誰がどのような病気になるか分からない以上、すべての国民にとって、研究開発を継続することが必要である。

 そのためには、市販薬で同様な効能のある薬については、保険適用を外すという選択があってもよい。私は、春にはいつも花粉症に悩まされるが、今は市販薬が簡単に入手できる。ただ病院で診断を受け、処方箋を出してもらえれば、保険が適用されるのでより安く買える。このような同等の市販薬がある薬剤について保険の適用を外せば、医師の診療や処方も不要となり、保険財政も改善される。ビタミン剤、湿布剤なども同様である。

 限られた数の患者であっても保険適用で救済していくのと同時に、それを可能にし続けるには、保険適用をしない医薬品を増やしていく選択も重要である。世界に冠たる国民皆保険制度を維持するためには、それも必要な措置である。

 公的保険制度のあり方について、もっと国民的議論が展開されてよい。毎月の給料明細表で、税金のみならず、社会保険料についてもよく見てほしい。重い負担のはずである、消費税を2%上げると大騒ぎする国民が、社会保険料については沈黙を守っている。為政者にとっては、不人気な税よりも、社会保険料で国民負担を増やしたくなるのは当然である。納税者意識のみならず、保険料負担者意識も必要なときが来ている。今や国民医療費は42兆円を超えていることを忘れてはならない。国家予算の4割と同等な額である。