かつてチーム内で唯一、澤村をコントロール出来ていた同じ中大OBの先輩・阿部慎之助捕手も、今や代打要員となり中心的選手ではなくなった。ますます澤村の孤立に拍車がかかっていきそうな気配も漂う。

潜在能力は間違いなく「一級品」

 だが、復活の道が閉ざされたわけではない。

 15日にチームは阪神タイガースに敗れ、今季最多の4連敗。辛うじて首位の座は守っているが、4チームが1ゲーム差以内でひしめき合う大混戦の中であがいている。ブルペンは安泰ではなく猫の手も借りたい状況だけに一軍首脳陣としては、本来ならば澤村に万全の状態になって一刻も早く戻ってきてもらいたいのが本音であろう。

 だが被害者側と和解したとはいえ、このような不祥事を犯したばかりでは早期の一軍復帰など道義的に許されるわけがない。そうかといってトレード要員としても引き取り手がいないのだから球団内で「このまま、ほとぼりが冷めるまで二軍で塩漬けにするしかないのではないか」と諦めムードが漂うのも無理はないところだ。ここに球団としてのジレンマがある。

 潜在能力は間違いなく一級品。それなのにさまざまな出来事も災いしてエキセントリックな性格面がますます強まり、自分で自分の首を締めてしまった。澤村が今の陥った苦境を自業自得ととらえられるならば今度こそ改心して這い上がり、チームを救わなければいけない。

<追記>
 
ここまで書き、記事をアップした5月16日昼、急きょ澤村が一軍登録される見込みであることが明らかになった。巨人の逼迫したブルペン事情もあるが、澤村にとっては思いがけないチャンスをもらった形になる。是非とも奮起してもらいたい。