2人目は、金革哲国務委員会アメリカ担当特別代表である。ハノイの米朝首脳会談で実務責任者を務めてきたエリート外務官僚だ。
こちらは、すでに処刑されていると推測している。「ハノイの決裂」の責任は、朝鮮労働党で「総括」した後、幹部の誰かが負わねばならない。それが金英哲副委員長でないとすると、残りの「候補者」は3人しかいない。
だがそのうち、李容浩外相と崔善姫第一外務次官は、その後も公の場に姿を見せている。また、この2人が金正恩委員長の「好み」であることは、これまでの様々な状況から感じ取れる。となると、消えた金革哲代表は、悲惨なことになっているに違いないのだ。
大物美女2人が表舞台から消えた理由
消えた幹部の3人目は、金与正党宣伝扇動部副部長である。金正恩委員長の唯一の妹で、これまで主要な金委員長の首脳会談に同行し、「秘書役」を務めてきた。
4人目は、金正恩委員長の「美人妻」李雪主夫人である。李夫人も、金委員長の外遊や国内視察に、たびたび同行してきたが、とんと顔を見せなくなった。
この2人の「大物美女」は、まさか粛清されるはずもないから、行動を自粛しているのだろう。
朝鮮半島には、「雌鶏鳴くと国滅ぶ」という諺がある。以前から、この2人に対しては、「表に出すぎだ」という批判の声があったと聞く。ただ金正恩委員長が、そうした声を無視してきただけのことだ。それが無視できなくなったところに、金委員長の苦しい立場を感じる。
いずれにしても、金正恩委員長がいま一番、恐れているのは、トランプ大統領が豹変して、米朝関係が悪化することではない。120万朝鮮人民軍が反旗を翻すことである。だから突然、ミサイルを飛ばして、「私は軍を重視している」と示したのである。
前出のような経済状況であれば、「100万トンの備蓄」が義務づけられている軍用備蓄米も、すでにかなり切り崩していることだろう。
もしも今後、秋の収穫前に軍用備蓄米の倉庫が空になってしまったら、その時には本当の危機がやってくる。