経済問題:通貨危機の陰にエネルギーあり
「これはトルコの主権に基づく決定で、何者も覆すよう要求できない」
4月8日、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は訪問先のモスクワでウラジーミルプーチン大統領と会談し、ロシア製地対空ミサイル「S-400」を予定通り導入する考えを示した。
NATO(北大西洋条約機構)加盟国でありながらロシア製兵器の導入を進めるエルドアン大統領の外交姿勢に加え、経済・内政にも問題を抱えるトルコについて、近年市場は厳しい目を向けている。
トルコが抱える経済・内政・外交問題はおよそ次の通りだ。
(1)経済問題(経常赤字・対外債務の拡大・外貨準備高不足・油価高騰・国際的金融環境引き締まり・世界経済減速懸念)
(2)内政問題(3月の統一地方選での与党の苦戦・中銀や金融機関に対する政府の介入)
(3)外交問題(ロシア・イランとの関係を巡る米国との関係悪化)
以下これらの問題を簡単にまとめ、最後に筆者の現状分析と展望を述べたい。
第1に経済問題だ。見落とされがちだが、トルコリラの下落は2018年に突然始まったわけではなく、リーマンショック以降じわじわと進んできたものである。
そしてトルコリラ下落に最も強く影響しているのは、同国の経常赤字拡大ではないかと考えられる。