地下で出番をひっそりと待つ

 見学は以上だ。最後に今回見学した設備全体を上空から眺めておこう。

設備全体を上空から眺める(Googleマップ)

 左下の白い円が第1立坑の上部。その右上のサッカー場の下に調圧水槽がある。さらに右上、レンガ色の建物がポンプ設備のある排水機場だ。その右側、河川敷の途切れた場所が放出口で、ここから右の江戸川に排水される。

 首都圏外郭放水路は2002年6月に第1~第3立坑までが完成し、部分的に稼働を開始した。2019年3月の時点で全稼働回数は114回。これまでで最も流入量が多かったのは、鬼怒川決壊など関東・東北で多くの被害をもたらした2015年9月の台風17号、18号のときだ。このときは1900万m3もの水が4日かけて江戸川に排水された。このときの浸水被害軽減効果は373億円と試算されている。累計での被害軽減効果は総額1220億円を超えるという。

 畑や森に囲まれたのどかなサッカー場。しかしその下には、巨大な設備が出番を静かに待っている。そして、人知れず大きな働きをして水害被害を軽減する。普段は気づかないこのような設備を、見学できる機会が提供されているのだ。あなたも自分の目で確かめてはいかがだろうか。