いよいよ立坑内部に垂直に設置された階段を降りていく。もはや安全帯は使わないので外すときはちょっとドキドキする。
だいぶ下に調圧水槽に続く開口部が見える。
階段を20mほど降りていくと、立坑の横腹にぽっかりあいた開口部から、闇に浮き上がる地下神殿が見える。増水時には足元まで水であふれ、目の前の開口部に泥水が流れ込んでいくことを想像すると、恐ろしく感じる半面、確固とした技術で作られた堅牢な設備への信頼に妙な安堵も感じてしまった。巨大な土木建造物を見たときの感動は、やはり現地でしか味わえない。
洪水の危険性が去ったあと、立坑や調圧水槽に残った水は排水する。そのままにしておくと水が悪くなるためだ。第3立坑と第1立坑の底に設置されている残水排水専用のポンプで地上へと排水される。
排水ポンプの動力はガスタービン
調圧水槽、立坑とともに、首都圏外郭放水路の重要な設備がポンプだ。調圧水槽に流れ込んだ水を、江戸川に排水するための重要な設備である。次は「ポンプ堪能コース」で見られるものたちを紹介する。
調圧水槽に流れ込んだ水は、インペラと呼ぶ直径3.8mの羽根車を高速回転させて汲み上げて江戸川に排水する。1秒あたり50m3の水を14m上に押し上げられるポンプが4台あるので、25mプールの水を1秒で4階建ビルの屋上に送り出せるということだ。