2009年末頃から日本の中小企業の間で第4次中国進出ブームが沸き起こっている。
少子高齢化によって、今後、日本市場の縮小は避けられない。座して死を待つよりは、と各企業は中国市場を模索している。だが、資金や人材、情報が手薄な中小・零細企業の中国進出は、手探り状態にも等しい。
その日本勢の「素人ぶり」を察知してか、多くの中国人がビジネスに割り込んでくる。助っ人の登場は一見すると「渡りに舟」だが、多くのケースで失敗が見られる。
ビジネスをかき回す中国人コーディネーター
日本の中小企業A社と中国企業との契約がいよいよ大詰めを迎えたある日のこと。契約の最終チェックの段階で、中国ビジネスの専門家であるB氏が依頼を受け、A社のミーティングに立ち会った。
B氏は詳細を見て驚愕する。「よくやってるな、こんな危ない綱渡り・・・」
契約内容はすべて中国側に有利に働くものだった。資金はすべて日本側の提供であるにもかかわらず、決定権はまるでない。B氏は「これではやられ損だ」と危惧した。にもかかわらず、案件の紹介者である中国人C氏はこうせかす。
「この市場に関心を持つ会社は他にもある。決断は早くした方がいいですよ」
相手の足元を見透かしたような発言である。日本側も「これを逃したら、チャンスはもうない」と焦る。特に技術畑の人間にとって魅力あるプロジェクトだけに、彼らは、白紙に戻ってやり直すという冷静さをすでに失っていた。
別の企業ではこんなことが問題になった。