最先端を走る企業には選択と集中は向かない、そして失敗も多いから成果主義人事は百害あって一利なし。また、最先端技術を素早く製品開発に結びつけるには開発と営業など部署を超えた緻密な連携が求められるので、会議はとにかくダラダラとやる(第1回第2回参照)。

 非常識経営の塊とも見えるアルバックだが、バブルが崩壊してから20年、長い長いトンネルを走ってきた日本の多くの企業にとって目から鱗が落ちることが多かったのではないだろうか。今回は、現場で働く社員の声を聞いてみよう。

のびのびとチャレンジできるから働きやすい

 現場で働く社員たちは、アルバックらしさ、またアルバックで働く喜びについて、どのように感じているのか、従業員の方々に聞いてみた。

 「私は千葉の超材料研究所で、当時研究所にいた中村会長の下で仕事をしていました。当時から、開発実験で思い通りにいくことなど年に1回くらいでした」

 「しかし、失敗に落ち込んでいる暇などありません、次から次に新しいアイデアを議論し挑戦していく、そういう仕事の姿勢を学びました」(千葉超材料研究所 清田淳也氏)

 「若い社員は、一度は製造部門で装置の組み立てを経験します。その意味で、製造部は若い社員の登竜門」

 「若いメンバーと新しいことに取り組むのでぶつかることもありますが、そうした状況も含めて新しいことにチャレンジできる喜びがあると思います」(FPD事業部製造部 山田和男氏)

 「私は以前、銀行に勤務していたので、よく分かるのですが・・・ずばり、アルバックの良さは、失敗しても再チャレンジできる自由さです」(財務部 三島隆史氏)

 この3人が異口同音に語っていたのは、チャレンジできる喜びである。従業員の話をもう少し続けよう。